任意売却で発生しやすいトラブルについて教えてください。
■競売を巡るトラブル
任意売却を行う決断がなかなかつかず、ついに自宅が競売にかけられるという事態に陥ってしまった方の例ですが、競売にかけられた物件でも落札者が現れるまでは任意売却は有効です。ただし、債権者の承諾を得て入札を取り下げる以前に入札者が現れ、落札が確定してしまうとそれを覆すことはできません。
私たちは「競売が始まってもあきらめることはない」というアドバイスを行いますが、さすがに落札されてしまうとどうしようもないのです。「最悪の事態になる前に、なるべく早期のご相談を」と申し上げているのはこういうトラブルを未然に防ぐためでもあります。
■任意売却に債権者が応じてくれない
任意売却はすべての債権者の同意を得られないと成立しません。債権者の扱いが不平等であったり、適正な金額を提示できないという場合には債権者が協力を拒む場合があります。
もちろん私たちが任意売却の仲介に入る場合は、不動産価値の厳密な査定を行い、すべての債権者に対して公明正大な妥協案を提示します。そして全体的にこれが一番得策であるということを納得していただけるよう誠実に説得にあたります。
債権者にとっても不動産が競売にかけられるよりは有利なはずの任意売却ですが、私たちが仲介に入る以前に債務者と債権者の信頼関係が大きく損なわれ、心証を害している場合は「意地でも任意売却に応じない」と態度を硬化させてしまう債権者もいます。
特にローン滞納後、債務者が督促から逃げ回っていたり不誠実な態度を取り続けていたりすると「適正に任意売却を遂行するという信頼ができない」という理由で任意売却に賛成してくれない可能性が高まってしまいます。
■債務者が非協力的
私たちに任意売却の仲介をお任せいただいた後は、債務者であるお客様のご協力が円満な問題解決のために不可欠です。たとえば不動産の購入希望者が現れたのに「家の中を見せて欲しい」という依頼を拒んだり、あれこれ理由をつけてスケジュールを伸ばし伸ばしにするといったお客様が時々いらっしゃいます。もちろん愛着のある家を手放したくない気持ちや少しでも長く住みたい気持ちも十分理解できるのですが、売ると決めた以上は買主に対して好意的・協力的でなくては有利な売買契約は結べません。
また、売買の決済にあたっては家を明け渡さなくてはなりませんが、決済日になっても居座り続ける方がいらっしゃいます。これは買主や債権者の信用を完全に裏切る行為で、売買契約自体が解除される危険もあります。もちろん私たち仲介業者に対する信用もなくなり、お客様の経済的再建をお手伝いすることもできなくなってしまいます。