特定調停とは

■特定調停とは
特定調停とは、借金の返済が当初の契約通り履行困難となった場合、債務者と債権者の間に裁判所が立って、債務者が経済的に破綻しないように支援すると同時に現実的に返済可能な返済条件を設定(返済計画の立案)することで債権者の利益も可能な限り保護するという、一種の民事調停です。

■特定調停のスタイル
特定調停では、裁判所の中で裁判所に所属する調停委員と債務者、債権者が直接話し合います。基本的に調停委員は「双方がなるべく損をしないよう、無理をしなくて済むよう調整する」役割ですから、裁判のように互いの主張を言い争うのではなく、あくまで現実処理のための冷静な話し合いの場となります。

■任意整理と特定調停の違い
ひとことで言ってしまえば「弁護士などの専門家が代理人となるか・ならないか」の違いです。任意整理の場合は専門家を代理人に立てるので、専門家はあくまで債務者が有利になるよう法的知識を駆使して交渉してくれます。
それに対し特定調停は中立的立場の調停委員が間に入りますので、債務者の不利益にならないよう調停を進めてはくれますが、例えば過払い金があった場合の返還要求などは「それはまた別の問題」ということで代理交渉まではしてくれません。

■特定調停のメリット
特定調停では調停委員が間に入ってくれるため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼しなくても自分で債務整理ができます。調停委員は専門家として客観的で公平なアドバイスをしてくれますから、債務者が法的知識が不足している場合でも調停が情報強者である債権者に優位に進むということもありません。
特定調停は司法書士や弁護士への報酬が発生しないため、債務整理にかかる費用をかなり圧縮することができます。

■特定調停のデメリット
1 サラ金などで過払い金が発生している場合、別途に「過払金返還請求訴訟」が必要になります。
2 決定した返済計画通りに返済しなかった場合は直ちに給与差し押さえをされる可能性があります。
3 調停日には必ず裁判所に出頭する必要があります。
4 調停成立までに数ヶ月はかかりますから、その間の延滞損害金が返済計画の返済額に上乗せされる場合があります。

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特定調停は債務整理の費用面ではかなり魅力的ですが、公平な調停委員がいるとはいうものの専門家の味方がいないため、かなり債務者当人に法的知識がないと交渉を有利に進めることができません。また調停委員は調停の結果を「調停調書」にまとめますが、これは「裁判による判決」と同じ効力を持つという非常に強力で確定的なものです。
「特定調停は最初与しやすいように見えるが、甘く見てかかると後がこわい」といわれるのはそのためです。

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