■個人再生とは
個人再生とは、借金の返済額を大幅に圧縮して、それを3年かけて返済してゆくという手続です。「債務者の経済的再生を図る」という意味では自己破産によく似ていますが、「自宅を手放さなくて済む」などの自己破産にはないメリットがあります。
■個人再生の対象は?
個人再生の対象は将来にわたって継続的な一定収入の見込みがあり、負債額が5,000万円(住宅ローンは除く)を超えない個人であることが条件です。
「一定の収入はあるので、借金を減額してくれた上で3年間の分割返済を認めてくれるならちゃんと返せる。その代わり自宅などの大切な財産を取り上げるのは勘弁して欲しい」というような状況の方に向いているでしょう。
債務者は実現可能な返済額や返済方法を「再生計画案」としてまとめ、これが裁判所で認められれば、以後はこの「再生計画」に沿って返済を遂行してゆくことになります。
■個人再生のメリット(自己破産との比較)
□ローン返済中の自宅が守れる
自己破産の場合、債務者が住宅を所有していると強制的に処分されることになりますが、個人再生には「住宅ローン特則」があり、債務者はローン支払い中の自宅であっても手放さずに借金の整理ができます。
□資格制限がない
個人再生は自己破産のような資格制限がないため、司法書士・弁護士・税理士などの士業に就いている人でも辞職せずに利用できます。
■個人再生のデメリット
一定期間、新規の借り入れができなくなります。また金融機関のブラックリストに登録されます。
■個人再生の種類
個人再生には次の二種類があります。
□小規模個人再生
一般には単に「個人再生」というとこちらを指します。
「債務者が破産した場合債権者が受け取ることができるであろう予想配当額(=清算価値)を下回らない額」または借金の5分の1(最低100万円)のうち多い方の額まで借金を減額することができます。
ただし再生債権者による再生計画案への同意が必要で、過半数の債権者・過半数の債権額を持つ債権者の同意がなくては成立しません。
□給与所得者再生
給与所得などの定期収入があり、収入の変動が年収の20%以内であれば利用できる手続です。こちらは債権者の同意を得られなくても手続きを行う事ができます。
給与所得者再生は、
A 「清算価値」
B 債務総額の5分の1(最低100万円)
C 「可処分所得」2年分
の3つのうち最も多い額を弁済することになります。
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■もし再生計画の返済が失敗したら?
万が一計画どおりの返済が出来ない場合も正当な事情があれば再生計画を変更し、2年間の支払期間延長が認められる場合があります。それでも返済が出来ない場合は自己破産ということになりますが、75%以上返済が終了していればハードシップ免責(自己破産なしの免責)が認められます。