■任意売却の実務とはどのようなものでしょうか?
任意売却を成立させるまでには、
1 債務者の実態調査
2 不動産の実況調査
3 関係者の意思確認と事前合意
4 買主探し
5 最終合意
6 決済
のような実務的手順を踏むことになります。
□債務者の実態調査
お客様にヒアリングを行い、債務の状況や収支状況、連帯債務者や保証人の状況などを詳しく伺います。所得証明や住民票、金融機関からの督促状などの関係資料をもとに確認をとりながら客観的に状況分析を行います。
□不動産の実況調査
任意売却の対象となる不動産の実況調査を行います。現地を検分し、売買契約書、重要事項説明書、図面、登記簿謄本、評価証明書などをもとに不動産の資産価値を正しく把握します。この段階で任意売却した際のおよその売却益やオーバーローンの発生などを予測することができますので、今度どのように債務整理を行っていくかという方針をお客様とご相談しながら戦略を練ります。
□関係者の意思確認と事前合意
ここが私たち不動産業者の一番の腕の見せ所です。まず債権者に対して「適正価格の提示」を行います。「この不動産を市場に出したらこれぐらいの価値があります。この価格以上で買ってくれる人を探しましょう」という額を示し、債権者に納得していただきます。債権者が複数の場合は売却額をどのような比率で配分するかについても提示し、全員の承諾を得なくてはなりません。
また、お客様に対しても「この価格で家を手放す」ということを了承していただかなくてはなりません。
□買主探し
全員が事前合意できたらいよいよ買主を探します。少しでも有利な条件で不動産を買ってくださる方を私たちが全力をあげて見つけ出します。
□最終合意
買主が見つかり、売買価格で合意に至るといよいよ売買契約の締結です。債権者の優先順位にあわせて売却代金をどう配分するか確定し、抵当権抹消応諾をもらいます。またこの際、売却代金から解除料(いわゆるハンコ代)や不動産仲介手数料、登記報酬といった手数料、それにお客様の引っ越し費用や新居の保証金・敷金などの諸費用をどのくらい計上して差し引くかといった交渉も行います。債権者はなるべく多く回収しようとしますが、債務者の生活のメドが立たなくてはスムーズに任意売却が進められませんから、私たちが全力をあげてお客様に少しでも有利になるよう交渉を進め、合意を目指します。
□決済
売買契約の取引決済にあたっては、不動産引き渡し日(決済日)の設定、抵当権抹消書類や差押取下書の確認などを行い、同時履行決済(代金受取、債務弁済などの決済を同時に済ませる)を行って無事任意売却が成立したということになります。